「Kindle日替わりセール」で買って読んでみました。

Kindle出版の先駆者である鈴木みそ氏による、体験談の入り交じった出版業界の話です。
業界の末席に身を置く者として、構造的な欠陥は以前からわかっていたことなのですが、マンガでこうもはっきりと断言されると逆に爽快に感じます。

「沈み始めた船のマストの先を取り合う」
「それは奴隷ですよ?」

この業界は今、構造の転換点にいるのかもしれません。
それは紙の本か電子書籍かの問題でなく、出版社と作家の関係の問題です。

「電子書籍は大きな出版社は救いませんが、作家を救います」

紙版では別のセリフだったのが、電子版ではこのように変わっています。
このセリフが本書で言いたかったことを端的に表しているかもしれません。

編集者が出版社から離れてフリーのエージェントになる、クラウドファンディング(一昔前のアルファポリスのような形態+α)、作家レーベルの小さな出版社を運営するなど、様々な提案が出されていますが、必ずしもうまくいくとは限りません。むしろ失敗する方が多いでしょう。
しかし、このような勝負に打って出ないと生きていけない現実がそこにはあります。
そこにいち早く打って出た鈴木みそ氏は、今後も注目していくべき存在です。

ちなみに、氏のブログによると、日替わりセールで3000冊以上売れたらしいです。
これも電子書籍ならではの現象です。

過去のゲーム漫画が電子化されない理由や、奥村編集長の男気も印象に残りました。


追記
出版不況と電子書籍について詳しく知りたい方はこちらの本がオススメです。